ジム・ロジャーズ「円はもう安全資産ではない」(7月31日東洋経済ONLINEから転載)

 NHKのニュースなどで、海外で何らかの政治的・経済的事象が発生して外国為替相場が円高に振れたとき、まるで枕詞のように「安全とされている円が買われた」という毎度お馴染みのことばが発せられる。東洋経済ONLINE7月31日にて、著名な投資家であるジム・ロジャーズの以下のとおり警告している。(h-tomiyama)

日本人は甘すぎる!

日本では「老後資金2000万円不足問題」が連日メディアをにぎわせました。しかし、ジム・ロジャーズ氏は「年金を当てにしている人は甘い」と言います。いつまでも円だけにしがみついていてはリスクがある、ということです。

「日本人にとって、日本国外に投資をすることは極めて重要だ。日本国内にほとんどの資金を保有している日本人は、早急に資金を海外に移すことを考えたほうがいいだろう。日本で貯めてきた貯金と政府からの年金を老後資金の当てにしている人は、甘いと言わざるをえない。日本政府が今後も紙幣を刷り続けるのであれば、日本円の価値は相対的に落ちるからだ。

年金も、額面として受給できたとしても、その価値は保証されたものではない。日本人は、財政破綻した旧ソ連による年金が、急速なインフレに伴いほとんどの価値を失ったことを思い出すべきだろう」

と言います。ロジャーズ氏はこう続けます。

「もし日本で自宅を購入しているのであれば、売却をして海外に移住するか、資金を移すことを私は勧めたい。しかし、昔の考え方で凝り固まった日本人には難しいかもしれない。日本の一般の人々が危機を感じるには、まだしばらく時間がかかるだろうから、私の意見が極端に思える日本人もいるはずだ。

そうであれば、まずは日本で今の仕事を続けながら、他の国を訪れてみることから始めてはどうだろうか。例えば日系人の多いブラジルのような国に。現段階では、日本円はブラジルレアルに比較して高いから、日本人はブラジルで豊かに過ごすことができる」