平野貞夫氏が安倍首相を「内乱予備罪」で告発した理由

 

自民党総裁選が始まった。安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなっているが、安倍圧勝をどこまで抑えられるかという話題ばかりだ。元参議院議員自民党)の村上正邦氏(86)、元参議院議員民主党など)の平野貞夫氏(82)、元参議院議員共産党)の筆坂秀世氏(70)の3人が集結。いまの政治は議論が少なすぎると嘆いた。そして、平野氏から、議論を活発にするために、安倍首相を内乱予備罪で告発するという宣言が飛び出た。

筆坂:憲法の問題だって難しいんですよ。安倍(晋三)さんは九条を残し、第三項を加えて自衛隊を明記すると言う。だけど、九条と自衛隊なんて、どう考えても整合性取れないよ。「戦力は保持しない」と言いながら、自衛隊を持つっておかしいでしょ。だから、日本は独立国家で主権国家だから、防衛力、自衛力を持つのは当たり前だと、堂々と国民に問いかけるべきだと思う。

平野:公明党を説得するための妥協案になっている。その一方で、これから始まる沖縄知事選で公明党はフル回転していて、知事選で自公が勝てば安倍さんは憲法改正をやめるという裏約束があるといわれている。憲法改正を阻止できると、創価学会が頑張っている。ねじれてますよ。

村上:憲法改正さえ政権存続のための材料に使うのか。

平野:あまり報じられていませんが、7月31日に大島理森衆議院議長が異例の所感を出しているんですよね。簡単に言うと、これまで安倍政権の不祥事が数々あって、それが日本の民主主義の根幹を揺さぶったと。政府は原因を追及して改善策を考えろと、相当強く言っている所感を出した。

筆坂:財務省の文書改ざんとか、あり得ないことですよね。

村上:あり得ないねえ。

平野:中央省庁の8割が障害者の雇用を水増ししていたことも発覚している。

筆坂:これは許しがたいことですよ。これほど酷い障害者差別はないですよ。

平野:だからね、実は私は、安倍さんを内乱予備罪で告発するんです。この7日に検察に告発状を出します。(※9月7日、弁護士の山口紀洋氏、元公明党副委員長の二見伸明氏とともに検察庁へ告発、記者説明会も開いた)

 内乱罪は「憲法が定める統治秩序」を乱す目的で「暴動を起こす」ことに適用され、総理大臣でも対象になる。「暴動」には物理的な暴動だけではなく、脅迫や極端な不正行為、あるいは誘導も含まれるからね。

 安倍政権の5年半を振り返ると、彼は自分の思い通りの国を作るために憲法を改正する前に解釈改憲をやり、様々な憲法の基本原則を踏みにじってきたから、それを具体的に拾い上げて告発するんです。

筆坂:物騒な話だね。

村上:議論をするために告発するならいいことじゃないか。私も政治の熱を奪った罪で告発したいね。

※週刊ポスト2018年9月21・28日号