テレビの時間と映画の時間

旅行先の宿でテレビを見ることがあります。テレビになれていないので、めまぐるしくCMと番組が変わるので落ち着かない。ニュースでも一つ前のニュースと今のニュースにつながりはない。30分もすると疲れてしまう。テレビに流れている時間は日常の時間を切り貼りしているだけではなく、圧縮している。映像を理解しようにもすぐ場面が変わってしまうので、こちらの了解を差し挟む時間がない。発信者のイメージを押しつけられるだけなので、真面目に見ているとくたびれてしまう。たぶんテレビをつけっぱなしにしている習慣の人は、うまくスルーする特殊技術を身につけているのでしょう。

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東京物語

テレビと違って、映画は私たちの日常の時間を理解している。小津安二郎の映画をみればよくわかる。見ている私たちが映像の中に参加できる時間が用意されている。もちろんそんな映画ばかりではない。一方的に制作者の意図を押しつけ、視聴者をお決まりの「感動」に誘導するような映画もある。そういうのは「私」が参加できないからすぐ忘れて、何の痕跡も残らない。(deschoolman)