新書のご案内(続き)・・・『キャベツ畑のスピリチュアル』

〈児童文学作家 今関信子さんの後書き転載〉 

 

この本を読んでくださったみなさんへ

あなたには、お友だちがいますか。目が輝きましたね。仲良くしているお友だちの顔が、心にはっきり浮かんでいるのですね。

幼なじみ、おうちが近所のお友だち、いとこどうし、新しいクラスになってお友だちになった子、失敗を励ましてくれた時からのお友だち、おそろいの洋服を着て遊ぶ子、暑がりと寒がりなのに仲良し、いろいろなお友だちがいますね。

この作品の主人公風花のクラスに、転校してきた神崎晴矢くんを、あなたはどう思いましたか。2学期に来て3学期にはいなくなりましたから、たった半年間のクラスメートです。

ある日、登校時間に来ない神崎くんを迎えに行って、風花は迷子になってしまいました。始業時間に間に合うようにと、冬キャベツの畑を夢中で走った2人。校舎の裏で神崎くんが打ち明けたおうちの事情は、神崎くんの秘める不思議な力を告白することになりました。風花だけに知らされた神崎くんの秘密。風花もお母さんにも話していない秘密を打ち明けて、 2人は時間を超えたイメージの世界で遊ぶことになりました。

風花は、突然いなくなった神崎くんの行方を思い描いています。短い時間だったのに、 一番大切な友だちとなって、風花の記憶に残った神崎くん。風花の心にタッチした不思議な男の子は、あなたの心にも何かを残したでしょうか。

この物語の作者、上田英津子さんは、ちょっとおしゃれで、ちょっと不思議な雰囲気を持つ作品をたくさん書いていました。今は、重い病気と闘っていて、自由に作品が書けませんが、カウンセラーの先生に助けられて文字盤で作品を書いています。私は、創作が好きな英津子さんとお友達です。だから、以前に書いた作品も、一文字一文字拾って書いている今の作品も読んでいただけたらと願っています。作品を通して、作者とあなたがお友達になれたら、どんなに嬉しいでしょう。