三島由紀夫語録、テーマ「国家革新の原理」(新潮社版『文化防衛論』より引用)

学生とのティーチイン 日時・1968年6月16日

           場所・一橋大学

                                       主催・一橋大学日本文化研究会

 

三島由紀夫の問題提起より

 (前略)昭和12年から昭和20年までの8年間の日本は暗殺がまったくありませんでしたが、言論弾圧の時代であります。結論を先に言ってしまうと、私は民主主義と暗殺はつきもので、共産主義と粛清はつきものだと思っております。共産主義の粛清のほうが、数が多いだけ、始末が悪い。暗殺のほうは少ないから、シーザーの昔から、殺されるのは一人で、60万人が一人に暗殺されたなんて話は聞いたことがない。これは虐殺であります。

 どうして暗殺だけがこんなにいじめられるのか、私は、暗殺の中にも悪い暗殺といい暗殺があるし、それについての有効性というものもないではないという考え方をする。たとえば暗殺が全然なかったら、政治家はどんなに不真面目になるか、殺される心配がなかったら、いくらでも嘘がつける。(以下略)